「街で外国人観光客を見かける機会は増えたのに、自分の店にはなかなか来てくれない」。青森で商売をしている方から、こうした声をよく聞きます。
多言語対応、キャッシュレス決済、口コミ、予約サイトなど、やることが多すぎて迷いますよね。本記事では、青森のインバウンド集客を「現状データ→受入準備→Web集客→支援制度」の順に整理します。
読み終えるころには、自店が何から手をつければよいかが見えてくるはずです。
青森のインバウンド集客はなぜ今がチャンスなのか?

青森を訪れる外国人観光客は、ここ数年で大きく増えました。ただし、観光客の増加が自店の売上に直結するとは限りません。
青森を訪れる外国人観光客の現状(宿泊者数・伸び率)
青森県に泊まる外国人は、過去最多を更新し続けています。
2025年の外国人延べ宿泊者数は約52万2千人泊で、前年から26.4%増えて初めて50万人を超えました。
県が2028年の目標としていた50万人泊を、3年早く達成しています。
県全体の延べ宿泊者数も過去最多で、伸び率は全国1位でした。円安に加え、これまで弱かった冬に客足が伸びたことが要因とされています。
最新の数値は、観光庁「宿泊旅行統計調査」で確認しましょう。
| 年 | 外国人延べ宿泊者数 | 備考 |
| 2024年 | 約41.3万人泊 | 当時の過去最多 |
| 2025年 | 約52.2万人泊 | 前年比26.4%増・過去最多 |
| 2028年(県の目標) | 50万人泊 | 2025年に前倒しで達成 |
クルーズ船・直行便・冬季観光が県内の来訪を押し上げる背景
県内への来訪を押し上げているのは、空と海の玄関口です。青森空港からは、台北線とソウル線の国際定期便が出ています。台北線は、2026年夏ダイヤから毎日運航になりました。
青森港には2025年に過去最多の41隻のクルーズ船が寄港し、2026年はさらに増える見込みです。
船を降りてすぐに市街地を歩けるのも、青森港の強みです。
ここに雪景色や温泉、ねぶた祭などの季節の魅力が重なります。特に雪が珍しい台湾の旅行者にとって、冬の青森は人気の旅行先です。
SNSで観光客を集める仕組みは別記事で解説
SNSで青森の魅力を知ってもらう方法は、こちらの記事で解説しています。

本記事では「SNSで興味を持った旅行者が青森で自店を見つけてお金を使うまでの流れ」を解説します。
認知を広げても、店側の準備が整っていなければ売上は伸びません。反対に、受入準備を整えても、知られなければ客は来ません。
青森に来る外国人観光客はどこから?主要市場ごとの特徴

ひとくちに外国人観光客といっても、国や地域によって旅の目的や情報の集め方は違います。違いを知れば、自店が狙う相手を選びやすくなります。
台湾・香港からの旅行者|リピーターが多く個人旅行が中心
台湾・香港からの旅行者は、青森にとって身近なお客様です。特に台湾からの旅行者が多く、両地域とも訪日リピーターが多いといわれます。
家族や友人との個人旅行が中心で、地方ならではの体験を求める人が目立ちます。雪景色や温泉、りんごなど、青森の四季を楽しみに訪れる人も多いです。
情報は、繁体字で書かれたSNSや旅行ブログから集めるのが一般的です。繁体字は台湾・香港で使われる漢字で、中国本土の簡体字とは形が違います。メニューや案内を作るときは、繁体字版を用意しておきましょう。
中国・韓国・欧米豪からの旅行者|情報源と消費行動の違い
中国・韓国・欧米豪からの旅行者は、情報の集め方もお金の使い方も異なります。
中国からの旅行者は、中国国内のSNSで行き先を調べ、スマホの決済アプリで支払う人が多いといわれます。韓国からの旅行者は距離が近く、短い日程で何度も訪れるのが特徴です。ソウル線がある青森にとって、狙いやすい市場です。
欧米豪(欧米とオーストラリア)からの旅行者は、滞在日数が長めです。自然の中での体験や、地元の暮らしにふれる時間を好みます。情報源は、Googleマップや口コミサイト、英語の旅行メディアが中心です。
| 市場 | 主な旅行スタイル | よく使う情報源 | 準備したいこと |
| 台湾・香港 | リピーター・個人旅行 | 繁体字のSNS・ブログ | 繁体字の案内 |
| 中国 | 観光・買い物 | 中国国内のSNS | 簡体字の案内・決済アプリ |
| 韓国 | 短期・リピート | 韓国の地図アプリ・ブログ | 韓国語の案内 |
| 欧米豪 | 長期滞在・体験 | Googleマップ・口コミサイト | 英語の案内・体験メニュー |
自店が狙う市場を1つに絞ると集客施策が決めやすくなる
すべての国に同時に対応しようとすると、予算も手間も足りません。市場が決まれば、翻訳する言語、導入する決済、掲載する媒体も定まります。
冬の温泉宿なら台湾・香港、長期滞在向けの体験事業なら欧米豪が候補になるでしょう。駅や港に近い飲食店なら、短期旅行が多い韓国の旅行者とも相性がよいはずです。
いまの外国人客がどこから来ているかを、会話や予約記録で確かめてみましょう。
【インバウンド集客】外国人客が「入りやすい・買いやすい」お店にする受入準備

集客に力を入れる前に、来てくれた外国人客を逃さない準備が必要です。言葉が通じない、支払えないといった理由で帰られては、集客費用がむだになります。
多言語メニュー・ピクトグラム・翻訳アプリで言葉の壁をなくす
言葉の壁は、ピクトグラムと写真、翻訳アプリの組み合わせでかなり減らせます。ピクトグラムとは、文字を使わずに意味を伝える図記号です。青森県は、受入環境整備に役立つツールを公開しています。
県のメニュー作成例では、料理ごとにピクトグラムや写真を付けることを勧めています。
料理名に簡単な説明を添え、税やサービス料を数字で明示するのも効果的です。郷土料理やご当地グルメの外国語表記マニュアルも用意されています。
会話には、無料の多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」などが役立ちます。通訳サービスなどの最新の内容は、県庁の担当ページで確かめましょう。
キャッシュレス決済・免税対応で「買えない」を防ぐ
支払い手段をそろえると、「買いたいのに買えない」という損失を防げます。少額の現金しか持たずに旅行する人も少なくないからです。
クレジットカードに加え、狙う市場に合わせてQRコード決済も考えてみましょう。中国の旅行者を狙うなら、中国で広く使われる決済アプリへの対応が候補になります。
土産物店では、免税対応も売上に直結します。免税制度は2026年11月1日から「リファンド方式」に変わります。店では税込で販売し、出国時に税関が持ち出しを確認したあとで消費税分を返金する仕組みです。
返金対応の準備が必要なため、利用中の免税手続き事業者へ早めに相談しましょう。
Wi-Fi・アクセス案内・宗教食への配慮など小さな不安を取り除く
旅行者は、知らない店に入る前に「入って大丈夫か」を気にしています。
無料Wi-Fiの有無、駅やバス停からの行き方、営業時間は、店頭とWebの両方に示しましょう。宗教や信条によって、食べられないものがある人もいます。
ハラール(イスラム教の決まりに沿った食事)やベジタリアン向けの料理は、表示しておくと選ばれやすくなります。対応できない場合も、豚肉やアルコールの使用を明記するだけで安心につながります。
- 無料Wi-Fiの有無とパスワードを掲示している
- 最寄り駅・バス停からの道順を外国語で示している
- 営業時間と定休日を数字で表示している
- 豚肉・アルコールなど使用食材を表示している
- 使える決済手段を入口に掲示している
- 指差しで注文できるメニューがある
外国人客に「見つけてもらう」ためのWeb集客施策

受入準備が整ったら、次は旅行者に店を見つけてもらう段階です。ここでは、旅行者が探す場所に店の情報を置く施策を、優先度の高い順に紹介します。
Googleマップ(ビジネスプロフィール)と外国語口コミの整備
外国人客を集めるなら、最初にGoogleマップの店舗情報を整えましょう。多くの旅行者が地図アプリで近くの店を探し、口コミを見て入る店を決めるからです。
Googleマップの掲載情報は、無料の「Googleビジネスプロフィール」で管理できます。営業時間やメニューを充実させ、説明文には英語も添えましょう。料理や外観の写真は、言葉がわからない人にとって重要な判断材料です。
外国語の口コミには、翻訳ツールを使ってでも短く返信しましょう。返信があると、ほかの旅行者にも歓迎の気持ちが伝わります。こうした地図検索での対策は、MEOとも呼ばれます。

OTA・予約サイト・海外向け旅行メディアへの掲載
業種に合った予約サイトや旅行メディアに載せると、海外からの露出が増えます。旅行者は出発前に、予約サイトで宿や体験を比べて選ぶからです。
宿泊施設なら、Booking.comなどのOTA(オンライン旅行予約サイト)への掲載が基本です。
体験事業者なら、KKdayやKlookのような体験予約サイトが候補になります。
観光施設や小売店は、繁体字圏などの海外向け旅行メディアに紹介してもらう方法もあります。手数料がかかる媒体も多いため、1〜2か所から始めて反応を見ましょう。
| 業種 | 主な掲載先 | 押さえたい点 |
| 宿泊 | OTA(Booking.comなど) | 写真と設備情報を充実 |
| 体験・観光 | 体験予約サイト(KKday・Klookなど) | 所要時間と集合場所を明記 |
| 飲食 | 外国語対応の飲食店予約サイト | 事前予約で言葉の不安を解消 |
| 小売・土産 | Googleマップ・海外向け旅行メディア | 免税の可否を明記 |
多言語ホームページとSNSをつなぐ「予約・来店導線」
SNSで興味を持った旅行者を、予約や来店まで迷わず案内しましょう。次の行動がわからなければ、旅行者は離れてしまいます。
SNSのプロフィールには、多言語のホームページへのリンクを置きます。ホームページには、予約ボタンとGoogleマップへのリンクを目立つ位置に配置しましょう。
すべてのページを翻訳する必要はありません。料金、アクセス、予約方法など、旅行者が知りたい情報から優先して訳しましょう。

地域・周辺施設と連携して「立ち寄り先」に入る
地域の観光団体や近くの施設と組むと、1店舗では届かない客層に出会えます。旅行者は、観光協会のサイトやモデルコースを参考に立ち寄り先を決めるからです。
地域の観光協会やDMO(地域ぐるみで観光地づくりを進める組織)に、自店の情報を届けておきましょう。
県の観光情報サイト「Amazing AOMORI」には、外国人が利用しやすい施設を多言語で紹介する仕組みもあります。近くの宿や観光施設とチラシを置き合い、お客様を紹介し合うのも効果的です。
Googleマップの整備や多言語ホームページづくりに迷ったら、お気軽にご相談ください。
吉和の森では、Googleビジネスプロフィールの作成から運用まで一貫してサポートしています。

青森県・商工会議所のインバウンド支援制度と補助金を活用する

受入準備やホームページの多言語化にかかる費用は、国や県、市町村の支援制度で軽減できます。
制度の内容は年度ごとに変わるため、申し込む前に公式の情報を確かめましょう。
青森県の受入環境整備支援と「外国人にやさしい立ち寄り施設」
青森県が定める「外国人が利用しやすい立ち寄り施設」の基準を満たすと、英語・簡体字・繁体字・韓国語のAmazing AOMORIに掲載され、無料で海外向けに発信できます。
基準の中身や申請方法は、県庁の担当ページで確認しましょう。市町村独自の補助金もあり、たとえば弘前市では多言語の案内表示やパンフレット制作などを支援しています。
小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金でHP多言語化やシステム導入
ホームページの多言語化や予約システムの導入には、国の補助金を使える場合があります。
小規模事業者持続化補助金は、販路を広げる取り組みの費用を一部補助する制度です。多言語のホームページ制作やチラシ作成が対象になり得ます。
IT導入補助金は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。登録された支援事業者を通じて、ITツールの導入費用を補助する仕組みは変わりません。2026年はスマートレジの導入にも使えると案内されています。
どちらも公募回ごとに締切や要件が変わり、準備にも時間がかかります。公募時期は早めに確認しましょう。

商工会議所・観光協会のセミナーや個別相談を使い倒す
商工会議所や観光協会のセミナーでは、最新情報と人脈を得られます。実践者の話を聞けば、一人で調べるより早く判断できます。
青森商工会議所では、SNSやWebを使ったインバウンド集客のセミナーを開いており、2026年9月には観光事業者向けの無料講座も開催されました。
補助金の申請や経営の悩みは、商工会議所の個別相談を利用できます。地域の商工会議所や観光協会のお知らせを、定期的に確認しましょう。
青森の事業者・地域に学ぶインバウンド集客の成功パターン

青森には、外国人客に選ばれている施設や、地域ぐるみで客を呼び込む取り組みがあります。
ここでは特定の施設名は挙げず、自店でもまねできる要素を紹介します。
口コミで選ばれ続ける宿泊施設に共通すること
外国語の口コミで高く評価される宿には、いくつかの共通点があります。旅行者は口コミに、料金よりもその土地ならではの体験や接客を書く傾向があります。
- 雪・温泉・郷土料理など青森らしい体験を用意している
- 地元食材の料理を写真付きで紹介している
- 言葉に頼らず、表情や身ぶりで歓迎を伝えている
- 外国語の口コミに継続して返信している
官民連携・地域ぐるみの誘客が個店の集客に波及する仕組み
県や地域が進める誘客の取り組みに乗ると、個店の集客にも追い風が吹きます。
県は直行便やクルーズ船の誘致に加え、旅行先を検討中の層に向けた発信も進めています。
一方で、来訪者を地域が生かしきれていないとの指摘もあります。個店側は、クルーズ船の寄港日を調べ、営業時間や人員を合わせましょう。港や駅から歩ける店なら、外国語の地図を案内所に置いてもらう方法もあります。

【Q&A】青森の事業者からよくあるインバウンド集客の質問

青森の事業者からよく寄せられる質問にお答えします。
Q. 英語が話せなくても外国人客を受け入れられますか?
受け入れられます。翻訳アプリ、写真付きの指差しメニュー、ピクトグラムがあれば、注文や会計の多くに対応できます。日本政策金融公庫が公開している、指さしで接客できるツールも役立ちます。笑顔で迎える姿勢があれば、言葉の不安は十分に補えます。
- 音声翻訳アプリを入れたスマホ
- 写真付きの指差しメニュー
- 使える決済手段の掲示
Q. 小さな個人店でもインバウンド対策は必要ですか?
小さな個人店こそ、始める価値があります。Googleマップの整備と決済手段の追加だけでも、旅行者に見つけてもらい、買ってもらえる状態になるからです。どちらも費用を抑えて始められます。できることから1つずつ進めましょう。

Q. 効果が出るまでどのくらいかかりますか?
Googleマップの整備や予約サイトへの掲載は、数か月で反応が出ることが多いです。
口コミが積み上がるまでには、半年から1年ほど見ておきましょう。青森は1〜2月に外国人客の伸びが目立つため、冬の前に準備を終えておくと成果につながりやすくなります。
まとめ:青森のインバウンド集客は「受入準備×見つけてもらう仕組み」で決まる

青森のインバウンド集客は、受入準備と見つけてもらう仕組みの両輪で成果が出ます。外国人の宿泊者は過去最多を更新しており、いまが取り組みどきです。
狙う市場を絞り、言葉と支払いの壁をなくしましょう。そのうえで、Googleマップや予約サイト、多言語ホームページで店を見つけてもらいます。
自店に合ったインバウンド対策を知りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。
吉和の森は代表が八戸市出身で、青森県からのご相談には割引などの特別サポートをご用意しています。


